主人公の猫は、ある時は一国の王の猫となり、ある時は船乗りの猫となり、その他、

  サーカスの手品つかいの猫、どろぼうの猫、ひとりぼっちのお婆さんの猫、小さな女

  の子の猫…と100万回生まれかわっては、様々な飼い主のもとで死んでゆく。その時、

  100万人の飼い主は猫の死にひどく悲しんでいたが、当の猫はまったく悲しまなかった。

  主人公の猫は、飼い主のことが大嫌いだったのだ。

 

 

  ある時、主人公の猫は誰の猫でもない野良猫となっていた。「自分だけの事が好き」な

  主人公の猫は、100万回生きたことを自慢し、周囲のメス猫たちも何とか友達や恋人に

  なろうと、プレゼントを持ってきたりして周囲に寄ってくる。

  しかし、唯一 自分に関心を示さなかった一匹の白猫の興味をなんとか引こうとするうちに、

  いつのまにか主人公の猫は、白猫と一緒にいたいと思うようになる。そして、白猫にプロポ

  ーズをするのであった。白猫は主人公の猫の思いを受け入れた。

 

 

  そして時がたつと、白猫はたくさん子供を産み、年老いてゆき、やがて猫の隣で動かなく

  なった。そこで猫は初めて悲しんだ。朝になっても昼になっても夜になっても、100万回泣

  き続けた。

  そして猫も、とうとう白猫の隣で動かなくなり、それ以後生き返ることはなかった。